夜職は、本業にしてそれだけで生活する人もいれば、副業のバイトとしてスナックで働く人もたくさんいます。

キャバクラなどに比べて、アットホームなイメージのあるスナックですが、実は「きつい」という噂も多く、経験した人としたことがない人では、仕事内容に対するイメージのギャップがあるのも事実です。

そこで今回は、実際にスナックでのバイト経験がある20〜30代の女性の体験談をもとに、本当にスナックのバイトはきついのか、また実際はどんな仕事内容なのかについて紹介していきます。

そもそもスナックって何?求人ではどんな仕事内容になっているのか?

スナックでのバイトは、短時間でもコンビニなどのバイトよりは稼げることから、女性に人気のバイトです。

特に世の中が不景気になると、副業をしないと生活できないという人も多く、昼間の仕事とは別に、スナックでバイトする女性が増える傾向にあります。

そこでここでは、これからスナックでバイトをしようと考えている人のために、スナックとは何か、表向きの求人ではどのような仕事内容になっているのかについて紹介します。

スナックは軽食を提供する飲食店!座って接客は実はNG

スナックとは、スナックバーの略称であり、スナック(英語でsnack=軽食)を提供するお店です。

とは言え、アルコールも提供している「飲み屋」ですから、実は座っての接客は違法となります。

風営法によって、座って接客するともはやキャバクラと変わらない営業形態になってしまい、営業時間を深夜12時までと限定されてしまいます。

スナックは、キャバクラと違って、カウンターを挟んだ接客になるため、風営法の適用外となります。

NG理由まとめ
風営法の適用外で、深夜12時以降も営業するために、カウンターを超えてお客様の隣に座ることはない(できない)ということです。

そのため、キャバクラが法的には日付をまたいだ営業ができない一方で、スナックは日付をまたぐことができます。

24時間営業の牛丼チェーンがあるように、あくまでも飲食店というくくりなので、営業時間に制限がないのです。

スナックの中には朝まで営業しているお店も実際に多くあり、よく居酒屋やキャバクラで遊んだ後の二次会、三次会、四次会の会場として選ばれることが多くなっています。

求人上でのスナックバイトの仕事内容って?

表向きのスナックバイトの仕事内容は、「お酒を作ること」「お客様と会話すること」の2つであることが多くなっています。

どのスナックバイトの求人でも、だいたい「毎日お客様と一緒にワイワイ楽しくやっています。お客様とお話をしたりお客様にお酒を作ったりするのが主な仕事になります。」のように、気軽に働けるような雰囲気の文章が掲載されています。

また、「ノルマなし」の文言も、多くのスナックバイトの求人で見かけます。

確かにキャバクラに比べて、スナックの方がノルマが設定されていないことが多く、それがスナック特有の「アットホームな雰囲気」につながっているとも考えられます。

果たして、話をしたり、お酒を作るだけでOKで、ノルマがないというのは本当なのでしょうか?

本当はきつい?経験者が語るスナックバイトの仕事内容とは

ここからは、実際にスナックでバイトしていた経験がある方の体験談をご紹介します。

なお、お住まいの地域や、経験者の方の年齢にバラつきがありますので、仕事内容にも若干の差が生じることをご了承ください。

ケース1:地方都市で20代後半からスナックバイトを始めたSさんの場合

Sさんは、地方都市で20代前半までキャバクラで働いていたものの、27歳の頃に当時勤務していたキャバクラの店長から肩を叩かれ、「次のステージに行った方がいいかも」と言われたそうです。

Sさんは夜職一本でやってきたため「次のステージ」と言われたときに、昼職は諦め、より年齢層の高いスナックに移ることを決めました。

とは言え、スナックの中でも20代後半はかなり若い方であり、1つ目に応募したスナックで即採用されたとのこと。

当時の求人には

「お話して、お酒を作る、楽しいお仕事です」

というよくある文章が掲載されていたそうで、仕事内容もそのままだと思っていました。

ところが、実際はキャバクラでやったことがなかった「掃除」「買い出し」などの雑用も多く、キャバクラ出身のSさんには結構衝撃だったそうです。

また、客層もキャバクラとは違い、年齢層が高く、普通の飲み屋に来る感覚で来店する男性ばかり。

「いわゆる”近所によくいる普通のおじさん”が、上から目線でくるから、そこが一番きついと思いました。」とSさんは語ります。

Sさんの場合、ノルマは一切なく、その点はノルマに疲れていたSさんにとって、とても気が楽でよかったと言います。

アフターもないので、「時給はキャバクラより下がったけど、自分の時間が持てると考えればよかったかもしれない」と、自由時間が増えたと前向きに考えることができたそうです。

ケース2:大学生で初めて夜職を経験!スナックバイトに目覚めたKさんの場合

Kさんは地方から首都圏の大学に進学し、大学4年生になり、就職の内定も決まった時に「空いた時間を有効活用して、就職までの間に引っ越し資金を貯めたい」という動機からスナックバイトを始めたそうです。

首都圏の繁華街のスナックに勤務することになったため、それまで続けていたコンビニのアルバイトに比べ、アルバイトによる収入は2倍近くになったとのこと。

肝心の仕事内容は、

  • 「お客様と会話する」
  • 「お酒を作る」
  • 「アフターあり」
  • 「ノルマあり」

Kさんの勤務先のスナックでは、掃除は雑用担当のスタッフが別にいて、夜職嬢が掃除や買い出しをすることはなかったそうです。

その代わり、スナックには珍しくアフターがあり、これがKさんにとってはきつい仕事だったそうです。

なぜなら、アフターでは特に報酬が発生しなかったからです。

Kさんは、同級生の友人がキャバクラでバイトをしていて、アフターにも報酬が発生すると思い込んでいました。

Kさんのスナックでは、報酬の説明があいまいで、文書化もされていなかったため、友人と同じようにアフターにも報酬が発生すると思い込んでいたそうです。

ところが、月末の給料日に給与明細を見ると、基本給の時給分しか入っておらず、ショックを受けたとのこと。

「無料で飲み食いできるのは、食費が浮いて、一人暮らしの学生には助かったんですけど、報酬がつくと思って、服とか買っちゃっていたので、そこがきついかなって思いました」と、Kさんは語ります。

また、学生でいきなり夜職のバイトを始めたため、父親のような年齢層のお客様と下ネタの話をするのもきついなと思ったそうです。

これはKさんが若くしてスナックでバイトをしたという年齢的な背景も関係しているでしょう。

ケース3:夫がリストラされ30代後半でスナックバイトを始めたRさんの場合

Rさんは、新型コロナウイルスの影響で勤務先の中小企業が倒産してしまい、当面の生活費を稼ぐ目的で、昼間はスーパーのレジ、夜間はスナックと、バイトの掛け持ちをしていたそうです。

Rさんは地方の中でもかなり郊外に住んでいたため、バイト先も限られていました。

昼のスーパーでのバイトでは、生活費としてはまったく足りなかったため、スーパーの時給の1.5倍ということでスナックでのバイトもあとから始めたそうです。

仕事内容は、

  • 「お客様との会話」
  • 「お酒を作る」
  • 「掃除・買い出し」
  • 「カラオケの相手」

地方の郊外ということもあり、首都圏ではあまり見られない「カラオケ」が非常に人気のお店で、お客様のカラオケの曲を機械に入れたり、時にはデュエットの曲で一緒に歌ったりすることもあったそうです。

ところが、Rさんは「スナックって本来そういう場所だと思っていたので、カラオケのお相手をするのは、特に違和感はなかった」とのこと。

むしろきついと思ったのは、お客様からのお触りだったと言います。

ホステスとの距離感が近く、アットホームといえば言葉はいいのですが、物理的な距離まで近いのが大変だったそうです。

スナックのママに相談してみたものの、「そういうのを交わしてこそ一人前」と相手にされず、本当にストレスだったと言います。

掃除や買い出しについては、もともと家で専業主婦を10年以上やってきたRさんにとってはきついと思うことはなく、むしろ掃除や買い出しをメインに働く裏方みたいな感じの仕事があればよかったと思ったそうです。

Rさんは「結局、お触りがひどいお客様がお店から離れることがなく、むしろ私の出勤日を狙っていらっしゃるようになったので、後半は本当にきつかったです。お触りに耐えられず、結局半年でスナックのバイトは辞めてしまいました。」と語ります。

スナックバイトの仕事内容は店舗によってそれぞれ!きついと後悔する前に事前の確認が必要

3名の経験者の声から、スナックのバイトにはきついと思うポイントがそれぞれあり、それは夜職嬢の性格や、許容範囲、勤務先の仕事内容によって変わるということがわかりました。

特に重要なのは、仕事内容を事前に確認するということです。

事前に確認すべき仕事内容
  • 「掃除・買い出し」はある?
  • 「カラオケのお付き合い」はある?
  • 「スナックなのに無償でアフター」はある?

もしも事前に仕事内容を知っていたら、そのお店で働くことはなかったでしょうし、自分に合った仕事内容のお店を選んで、「きつい」と思うことなく働けたかもしれません。

掃除や買い出しなどの雑用までしたくない人、報酬を伴わないアフターはしたくないという人、歌に自信がないからカラオケの付き合いはしたくない人は、特に注意が必要です。

面接の時点で、

「このお店は、雑用もホステスが行うのでしょうか?」

「アフターはありますか?あるとしたら、アフターに報酬は発生しますか?」

など積極的に質問するようにしましょう。

カラオケについては、面接の時点でお店に入れば、カラオケの機材があるかどうかを確認すれば良いでしょう。

いずれにしても、「思ってたよりきつい」と後悔しないように、自分から積極的に仕事内容に関する情報を拾いにいくという姿勢が大切です。

まとめ:スナックバイトをきついと思うポイントは人それぞれ!自分に合ったお店を見つけよう

この記事では、

  • キャバクラからスナックに流れてきた女性
  • 大学での一人暮らしの費用のために初めてスナックでバイトをした女性
  • 家計を助けるためにスナックで働くことにした女性

の3パターンの事例を取り上げてきました。

どの女性も、「きつい」と感じるシーンはあったものの、これは当然といえます。

きつくない仕事自体が珍しく、特にこの時代の夜職では、スナックてもきついと感じる場面がまったくない方が珍しいでしょう。

ただ、きつい!と感じる回数を減らし、きつさの程度を減らすためにできることはあります。

事前にお店の仕事内容をよく調べて、「この仕事内容なら働そう」と思えるお店を選ぶことです。

面接では、見られている意識も大切ですが、自分がお店と仕事内容を「見る」視点も忘れず、後悔のないスナック選びをするようにしましょう。