水商売はほとんどの女性がアルバイトか個人事業主として勤務しているのではないでしょうか。アルバイトでも働いていれば様々なで税金が徴収されます。一方で、払いすぎた税金を返してもらうこともできるのが「年末調整」です。

今回は、水商売を続けるなら知っておきたい年末調整とは何か、どんなメリットがあるのかについて紹介します。

年末調整とは?

従業員を抱えている会社には、毎年12月になると、税務署から「年末調整の仕方」というマニュアルが郵送されてきます。

水商売の場合は、元締めの会社に届くことがほとんどですが、稀に個人経営しているような小さなお店の場合は、店舗に届くようになっており、雇われている人はほとんどの人が対象となります。

それではここから年末調整について詳しく解説していきましょう。

年末調整は1年間の給与について所得税を精算するもの

年末調整を一言で説明すると、従業員が1年間働いた分の給料の中で、所得税に関する過不足を調整するものです。

あなたが毎月もらう給料は源泉徴収という名前で、税金がすでに引かれたものになっています。源泉徴収とういう徴収方法で「取りすぎたり、取らなすぎたり」したものを「年末」に「調整」するのが「年末調整」です。

源泉徴収制度とは?
  • 前年の収入から逆算して納税額を決定
  • 給与から前もって税金が自動で引かれている
  • 当初の想定より納税額が多くなった場合(前年より給与が低くなった場合)は年末調整で返金される
  • 主に雇用契約されている方が対象

ここで問題なのは、水商売で源泉徴収されている場合が少ないということでしょう。本来、あなたがお店に雇われて、アルバイトという形で働いている場合は、この源泉徴収は行われているべきです。

ところが、水商売で働いているのに「源泉徴収」をもらっていない人も多いのではないでしょうか。実は、水商売の問題は、この源泉徴収にあります。

私たちは毎月、税金を天引きされている

水商売でアルバイトをしていると、毎月の給与明細をもらうのではないでしょうか。そこに記載のある通り、税金が引かれ、所得税としての記載があります。

法律的には従業員を雇用しているのであれば、アルバイトでも正社員でも、源泉徴収をして、あなたの代わりに税金を国に納めています。ところが、お店側が悪質だと、キャストからは源泉徴収しておきながら、国に税金を納めていないところもあるのです。

現実的な話をすると、「源泉徴収すらされていない」というキャストも多いでしょう。もちろんこれはお店側の違法行為によるものです。

しかし、税金の仕組みを知らなければ、このようなお店の悪質なやり口に気がつくことも、あらがうこともできません。

タイプ別!今まで年末調整された経験のないキャストが取るべき行動

ここまで読んで、「私、水商売だけど年末調整ってされたことない!」「年末調整って初めて聞いた!」という人は、ぜひここからの記事をよく読みましょう。あなたがこれまで年末調整されてこなかったのであれば、「確定申告」をする必要があります

「なんか面倒臭そう、難しそう!」と思わず、税金の仕組みをよく理解して、損しただけで終わらないようにしましょう。

アルバイトで年末調整されているなら確定申告は不要

あなたが水商売で得たお金だけで生計を立て、お店側と労働契約(アルバイト含む)のある場合、受け取っているお金は「給与」となります。アルバイトであっても、この場合は一般的なサラリーマンと同じ扱いになるため、お店が源泉徴収して年末調整をする義務があるのです。

ただし、あなたのキャストとしての売上が年間で2千万円を超えなかった場合のみ当てはまります。あなたの年間のお給料が2千万円を超えた場合、労働契約し年末調整後に確定申告をする必要があるのです。

個人事業主としてキャストをしているなら確定申告は必要

アルバイトとして働く水商売方も多いのですが、売上のあるキャストの場合は、個人事業主という形で、お店側と労働契約を結んでいない人も多いでしょう。

このような方で年間で38万円以上の報酬を得ている場合は、確定申告する必要があります。「年間で38万円」ですから、水商売だけで働いている女性のほとんどは該当するケースになるでしょう。

面倒くさい!と感じる女性も多いのですが、確定申告に伴う作業が発生するだけに、お得になることもあります。水商売で仕事柄必要になったものについては、「経費」に計上することができます。

経費に含まれるものとは?
  • お店でしか着用しないようなドレス
  • 終電後に帰宅するためのタクシー代
  • アフターに向かう交通費など

これらが経費で落とせるのですから、悪いことばかりではありません。

本業ではなく副業で水商売をやっている場合は確定申告は不要

水商売のほかに、会社員として働き、労働契約を結んでいる場合は「報酬」ではなく「給与」という扱いになります。

例えば昼間はオフィスで働き、夜だけ水商売の仕事をアルバイトを週3でしている人がこのケースに該当します。この場合は水商売が副業扱いになり、副業で得た給与が年間20万円以下の場合は、確定申告する必要はありません。

週1でお小遣い稼ぎのためにたまーにお店に顔を出していて、年間で18万円稼いだ!という場合は、確定申告せず、昼間に働いている会社で実施する年末調整だけで完了するということになります。

しかし、年間20万円以上水商売で稼いでいる場合(それが報酬ではなく給与の場合のみ)は、確定申告が必要です。

副業で水商売をしている場合、水商売で稼いだ分のお金について、本業として勤務している会社にはあなたの副業の年末調整をする義務はありません。そのため、確定申告をして、払いすぎていた税金を自分で取り戻す必要があるからです。

副業で水商売をしている場合、先ほど紹介したように、税金のコントロールはある程度自分ですることができます。払いすぎた税金が戻ってくるのですから、多少面倒だと思っても確定申告した方が、手元に残るお金が多くなるでしょう。

副業で水商売をしていて、個人事業主として働いている場合も確定申告は必要

先ほどと同様に、キャバクラやガールズバーなどの水商売を副業で行なっている場合でも、お店側と労働契約を結ばずに個人事業主として働いている人もいるでしょう。

この場合、本業の会社員としての給料は、会社が年末調整をしてくれますが、副業の水商売の分に関しては、ほとんどの人が隠しているでしょうから、自分で確定申告をする必要があります。

先ほどと同様に、年間の所得が20万円を超えないのであれば、確定申告は不要です。しかし、副業で年間の所得が20万円を超えたという場合には、確定申告することで、副業で稼いだ分の報酬から引かれすぎた税金を取り戻すことができます。

ただし、これはあくまでも水商売のお店側が源泉徴収していた場合です。お店側が源泉徴収していなかった場合、確定申告の際に追加納税が発生することを覚えておきましょう。

水商売と税金のナイーブな関係を理解しておこう

キャバクラやガールズバーなどで働いている期間が長い人ほど、水商売の世界が税金とは微妙な関係にあることに気がついているでしょう。

「結構長く働いてるけど、テキトーに作ったような給与明細しかもらったことない」
「源泉徴収?そんな欄、給与明細にないけど?」

という人は要注意です。しかも、そのようなお店でしか働いたことがない場合は、無自覚で本来収めるべき所得税は払っていない可能性があります。

もちろん、責任はお店側にもありますが、税金の仕組みを知らずにいたあなたにも責任は追求されてしまうのです。水商売のお店では税金面がきちんと管理されていることは珍しく、働いているキャストの方が自分で勉強しなければ、あとで痛い目に遭う可能性もあります。

この記事をしっかり読み直し、自分に該当する部分を確認しましょう。年末調整がされている場合は、安心してそのまま働き続けても大丈夫です。

まとめ:年末調整されてない?確定申告にいく必要があるか確認し、無料相談を活用しよう

この記事を読んで、年末調整を知らなかった、確定申告に行く・行かないの判断基準がわからなかったという人は、まず自分がどのタイプに属するのかを見極めましょう。

ここをチェック!
  • 水商売は本業なのか副業なのか
  • 副業だとしたら労働契約を結んでいるのか、個人事業主なのか
  • 年間の水商売の所得が20万円以上か以下か

自分が年末調整されておらず、確定申告に行く必要がある場合は、税金の無料相談を活用することをお勧めします。

各自治体では、税理士が無料で税金の相談に乗ってくれる制度があります。無料相談が開催される日や頻度は、お住まいの自治体によって異なるため、自治体のホームページを確認しましょう。

今はコロナの影響で予約制になっているところが多くなっています。混雑して予約が取れなくなる前に、余裕を持って予約しておきましょう

そこで、自分の立ち位置と、確定申告でどのような手続きをすればいいのかについて相談すれば、あなたに最適なアドバイスをもらえます。不安なことをそのままにせず、まずは無料相談から始めてみましょう。