夜職を長く続けることのリスクとは?将来はどうするの?

夜職は確かに短時間で稼げるお仕事であり、必要な資格も特にないため、始める際のハードルはとても低いかもしれません。

しかし、夜職の大きなデメリットとして、「長期的に続けられるものではない」ということが挙げられます。今現在夜職として活躍している女性の中にも、「今はいいけど、年をとったらどうしよう」と漠然とした不安を持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、夜職を長く続けることのリスクと、将来に向けてとるべき具体的な対策について紹介します。

夜職は本当に短命?フルタイム勤務の勤続年数と比較してみた

夜職は本当に短命?フルタイム勤務の勤続年数と比較してみた

夜職として今現在働いている人は、周りのキャストが自分よりも早く辞めていく様子を見たことがあるでしょう。

一方で、自分よりも前から勤務している先輩が、まだまだ夜職として働き続けるというケースもよくあります。

労働政策研究・研修機構は、日本の労働者の平均勤続年数について調査しています。(参考:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0213_01.html)この調査によると、夜職を含む女性の短時間労働者の平均勤続年数は、2018年の時点で「6.3年」と出ています。

一方、フルタイム勤務の昼職の女性の平均勤続年数は、「9.7年」となっています。

ただ、上記の調査結果で提示されている「短時間労働者」の中には、スーパーのレジやコンビニのアルバイト、事務職のパートタイマーなど、昼職の短時間労働者も含まれていて、純粋に夜職の勤続年数を表したものではありません。

それでも、昼職のフルタイム勤務に比べると、同じ女性でも約4年近く、昼職の人の方が長期間にわたって勤務していることが分かります。

夜職を長期間続けることのリスク5選

夜職を長期間続けることのリスク5選

昼職のフルタイム勤務の方が、夜職を含む短時間労働者よりも長期間勤務することができるということを裏返すと、以下のようにも考えられます。

夜職では長期間勤続するのが難しいのかもしれないということです。

そこで、夜職の女性が抱いている「長く続けることの不安」について、明確にどのようなリスクがあるから不安になるのかについて解説します。

身体的負担が年々大きくなる

夜職では、売上を上げるためにも、アルコールや果物、脂質も糖質も高い食事をほぼ毎日摂っているという人がほとんどではないでしょうか。20代の若い頃なら、毎日の飲酒も、暴飲暴食も、一晩寝ればリセットされて、翌日それほど引きずらないかもしれません。

しかし、人間の身体は年々新陳代謝が落ちるもので、内臓機能も酷使し続けることで正常に機能しなくなります。

つまり、前日のアルコールがなかなか分解できずに2日酔いが続いたり、脂質・糖質の摂取によって体型が変化したり、消化器官に悪影響が出てくる可能性が高いということです。

30代以降は、上記のような身体的な変化をハッキリと感じることが多くなるでしょう。

それでも収入を途絶えさせないためにも、分かっていてもなお連日アルコールを摂取し、不規則な生活を続けて身体に負担をかける食事を続けていれば、いつか「もう動けない」という日が来るかもしれないというリスクがあります。

容姿の変化に自分自身が耐えられなくなる

美容に関心の高い女性ほど、昔の自分と今の自分の変化に気が付きやすくなるものです。鏡をよく見る機会が多いため、皮膚のハリ、しみ、シワなどの変化に誰よりも早く気が付くでしょう。

夜職は話術や接客術が成績に非常に大きな影響を及ぼすものです。

しかし一方で、一定層のお客様は、キャストに容姿の魅力の高さを求めている人が多いのも事実でしょう。

夜職を長く続けていくうちに、自分よりも年齢も容姿も若いキャストが次々と入店してくるのを見ていれば、多くの人が焦りを感じるのではないでしょうか。

お客様からの指名が減るといった業務上の不利益が出るというリスクも考えられます。

しかし、最もキャストを脅かすのは、自分自身への自己評価が低くなってしまう可能性があるということです。

毎日自分の顔と向き合っているからこそ、自分の容姿に自信が持てなくなる。自信のなさが接客態度にも影響し、いつも通りの笑顔で話せなくなる。笑顔や接客態度で指名してくれていたお客様からの指名が入らなくなる。

また、自分の自己評価が下がる…という、ネガティブスパイラルに巻き込まれるリスクがあるのです。

店舗のコンセプトによっては年齢的に居辛くなる

夜職と一口に言っても、比較的キャストの年齢層が若いキャバクラや、ガールズバーと、「熟女専門」のように年齢層が上の方であることをむしろセールスポイントにしている店舗では、長く続けられやすいかどうかも変わってきます。

「若さ・元気のよさ・活発さ」を売りにしている店舗では、年齢を重ねるに連れて、自分自身の居心地が悪くなってくるでしょう。

気持ちを若く持っていたとしても、30代・40代も同じ店舗で働き続けられるでしょうか?20代のキャストと一緒になって、ハイテンションで盛り上げることができるでしょうか?

一方、年齢が高いことを売りにしている店舗では、年々居心地がよくなっていく可能性があります。

「熟女・落ち着きがある・居心地がいい」を売りにしている店舗なら、夜職を長く続けることのリスクはそれほど感じないで済むかもしれません。

長く続けても退職金が出ない

夜職を長く続けることの大きなリスクとなっているのが、どんなに長く勤務したとしても、辞める時にまとまった退職金が出ないということです。

厚生労働省の調査によると、高卒で20~24年間勤続した人に支給される退職金は、平均で「672万円」でした。(参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/08/3d.html

たとえば20歳で入店して、40歳まで夜職を続けたとして、これだけの退職金は絶対に支給されません。

そもそも夜職には退職金制度がない場合が多く、退職の際は店長の配慮で「お餞別」として数万円ほど包まれるのが限度です。

自分の人生の若く、貴重な時間を夜職にささげてきても、最終的に昼職の人が支給されるような退職金を手にすることなく辞めなくてはならないことは、非常に大きなリスクだと言えるでしょう。

転職成功の可能性が年々薄れていく

一般的に、社会人は長く勤続することによってキャリアを積み、実績を積み、中でも優秀な人が昇進していくものです。

まだまだ年功序列の風習が残る日本では、年齢によって役職が与えられることも少なくありません。

昼職の人は、上記のように長く続ければ続けるほど、給与に反映され、自分の社会的な地位を確立していきます。

一方、夜職はといえば、店舗に雇われている間は、「昇進=ナンバーワンになること」であり、お店をマネジメントする立場になれるわけではありません。

つまり、夜職を続けていても、その世界でのキャリアアップには限りがあると言えます。

さらにリスクとなるのは、加齢による転職可能性が年々低くなっていくことです。「転職限界年齢」という言葉があるように、40歳以上で未経験の業種・職種に転職するのは非常に困難でしょう。

夜職をなんとなく続けているうちに、転職市場ではあなたの価値が徐々に下がっていきます。夜職を「いつか」辞めなければならないと考えているなら、転職は早く手を打つのがおすすめです。

夜職を続ける場合・転職する場合に待っているそれぞれの将来とは?

夜職を続ける場合・転職する場合に待っているそれぞれの将来とは?

ここまで紹介してきたように、夜職を長期間にわたって続けることは、大きなリスクをともなうものです。

しかし、それでも「実際に続けてもなんとかなるのでは」「転職したらどうなるか分からないから不安」という理由で、夜職を辞める決心がつかないという人も多いでしょう。

そこでここでは、「夜職を40歳まで続けた場合」と「30代で夜職から昼職に転職した場合」を比較して、それぞれの道を歩んだ将来について解説します。

夜職を40歳まで続けた場合に待っている将来

夜職から夜職に転職

実際にキャストとして働いている女性には「身に覚えのある話」になりますが、ある一定の年齢に達したキャストは、店長から肩をたたかれ、退職をすすめられることが多いものです。

その一定の年齢というのが、店舗によっては30歳、35歳とバラつきはありますが、40歳まで一度も肩をたたかれないということは稀でしょう。

たとえば40歳になって、「そろそろ他の道も考えてはどうか」と店舗側から言われ、夜職を退職したとしましょう。

40歳から転職するとなると、熟女を売りにした夜職に転職するか、昼職に転職するかという選択肢になるでしょう。

熟女を売りにした夜職に転職した場合、結局また毎日のようにアルコールを摂取し、不規則な生活リズムを繰り返し、加齢による健康リスクに追い打ちをかけるような生活を送ることになります。

上記のような生活は、40歳以降、50歳、60歳になっても続けられるものではありません。そもそも、いくら熟女が売りという店舗であっても、60歳近くなったキャストをそのまま雇い続けるという店舗は稀でしょう。

夜職から昼職に転職

では、40歳で昼職に転職した場合はどうでしょうか。40歳でも、雇用形態にとらわれなければ、つまりパートタイマーでもよければ、夜職と共通点のある接客業やサービス業に転職することは可能です。

しかし、これまでまったく経験のない事務職や、専門職などに転職することはかなり困難でしょう。

つまり、40歳まで夜職を続けた場合、転職したとしても今と同じパートタイム労働者として、夜職とあまり変わらない仕事に就くしかない将来が待っている可能性が高いと言えます。

30代で夜職から昼職に転職した場合

30代で夜職に見切りをつけ、転職を決意した場合の将来はどうなるでしょうか。30代で昼職に転職した場合、40歳で転職するよりも、活躍できる場はかなり拡大されます。

まず、30代の場合はパートタイム労働者に限定されず、正社員、契約社員などの雇用形態でも採用されやすい傾向にあります。

これだけでも、賞与(ボーナス)が支給され、社会保険はもちろん、有給や退職金などの恵まれた福利厚生を受けることができるでしょう。

また、30代なら未経験の業種・職種にもチャレンジできます。長い間夜職を続けてきて、ひたすら人と話すのが疲れた…という場合は、書類作成などがメインの事務所に異業種転職することができます。

手に職をつけて年を重ねても安定した収入を確保したい…という場合は、プログラミングやWEB関連の知識・スキルを身に着けて、プログラマーに異業種転職することもできます。
「プログラミングなんて絶対難しい」「どこでどうやって勉強すればいいか分からない」という人は、職業訓練という制度を使うことをおすすめします。

今の夜職で雇用保険に入っていても、入っていなくても、就職に役立つプログラミングや経理などの知識・スキルを身に着けられるのが、職業訓練という制度です。雇用保険に入っていないという夜職の人なら、給付金をもらいながら上記のような勉強ができて、しかも寄宿手当も支給されます。

こういった知識やスキルを身に着けた上で、30代で転職すれば、高い確率で条件のよい昼職に転職できるでしょう。

まとめ:長期勤務はリスク高!夜職に見切りをつけるなら、早い方がいい

まとめ:長期勤務はリスク高!夜職に見切りをつけるなら、早い方がいい

夜職として働いていると、短時間で高時給のため、「どのタイミングで辞めるべきか」について悩む人が多いでしょう。

しかし、このまま夜職を長く続けて一体将来自分がどうなるのか、具体的に想像できず、不安だけを抱えている人もまた多いと考えられます。

結論として、夜職を辞めるなら、次の転職を意識して年齢的な「限界」が来る前のタイミングで見切りをつけることをおすすめします。

長く続ければ続けるほど、夜職から抜け出すことは困難になり、昼職でも条件のよい求人に応募できなくなる可能性が高いからです。

将来どうしようか…と迷っているなら、今がその「辞め時」なのかもしれません。年齢を重ねてから後悔する前に、1日も早く行動を起こし、自分が本当にやりたい仕事、本当に望む生き方を実現することをおすすめします。