夜職と昼職の給料はどのぐらい違う?事前に知っておくべきお金のこと

夜職から昼職へ転職する際に気になるのが、給料がどれくらい変わるのかということではないでしょうか。転職した結果給料は減るのか、それとも増えるのか、気になるところですよね。

そこで今回は、夜職から昼職に転職した場合の給料の違いや、違いが出る理由について紹介します。

こんなはずじゃなかった!となる前に昼職の平均給与を知っておこう

こんなはずじゃなかった!となる前に昼職の平均給与を知っておこう

昼職に転職して、「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、昼職の平均給与がどれくらいか、国税庁の調査結果による具体的な金額を紹介します。(参考:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan1997/menu/05.htm

昼職と一口に言っても、業種や職種、キャリアやスキル、所有している資格によって異なるため、注意が必要です。

業界を統合した場合の平均年収は467万円

すべての業界の平均年収の平均値は、467万円(賞与含む)でした。

ただし、今後紹介していく「平均年収」を見る際に、注意しなければならないことがあります。それが、「平均はバラつきを隠す」特性があることです。

つまり、役職がついていて、月給も賞与も平均値を大きく上回る人もいれば、新入社員で少ない月給と寸志のみで平均値を大きく下回る人も多いのです。

平均年収では、この両極端な例も計算に入ってしまうため、昼職に転職した後の「目安」としてとらえておくとよいでしょう。

サービス業の平均年収は431万円

旅館・ホテルや飲食などのサービス業の平均年収は、431万円でした。サービス業は時間外労働も多く、人手不足を高い報酬で補おうとする面があります。

それでも上記のすべての平均年収と比較すると、少し下回っています。夜職から昼職に転職した場合には、平均の431万円を大きくした回ることは確実です。ほとんどの人は、転職後すぐの年収は300万円に満たないでしょう。

卸小売業の平均年収は408万円

卸小売業とは、厳密にいうと卸売業と小売業に分けることができます。卸売業は、業者が対業者と取引を行います。

繊維メーカーがアパレルメーカーに対して服の材料を販売するのをイメージするとよいでしょう。一方、小売業は、業者が対消費者と取引を行います。

上記の例では、アパレルメーカーが洋服を店舗やECサイトにて販売するのをイメージするとよいでしょう。

詳細に言えば、卸売業の方が、小売業よりも待遇がよい傾向にあります。夜職から小売業に転職する場合、特に必要な資格はありません。

誰もが転職しやすい業界であるということは、つまり好待遇が期待できないとも考えられます。

金融保険・不動産業の平均年収は558万円

すべての平均年収を大きく上回る558万円という高年収を実現できるのは、金融・保険・不動産業界です。

どの業界も扱う金額の桁数が多く、一度に多額の取引が行われることもあれば、多くの消費者と幅広く取引を行えるという背景があります。

たとえば土地の売買では、1つの案件で億単位のお金が動くことは珍しくありません。

保険業界でも、1人1万円の保険に入ったとして、保険会社で10万人の加入者がいたら、月に10億円の収益が出ることになります。規模の大きな保険会社の場合、加入者の規模は上記の比ではありません。

その業界で動くお金が大きいということは、従業員の給与にも反映されるということになります。金融・保険・不動産の営業職ともなれば、他の業種と比べても高い給与を得ることができるでしょう。

ここで差が付く!夜職と昼職の給料の違い

ここで差が付く!夜職と昼職の給料の違い

夜職では1時間3,000円、4,000円という高時給で働いてきた人が多いのではないでしょうか。

この時給だと、わずか5時間勤務しただけで(待機カットなしと仮定して)1日の日給は15,000~20,000円ということになります。月間20日間出勤した場合、月収は30~40万円になるでしょう。

このような夜職の給料に慣れていると、昼職に転職してからよくない意味で驚くことになるかもしれません。たいていの場合、昼職に転職して給料が下がる人が多いのが現実です。

そこでここでは、昼職に転職することで生じる給料の違いと、その違いが生じる仕組みについて紹介します。

夜職は時給、昼職は月給

夜職での好待遇が実現するのは、夜職の女性が、厚生労働省が定義するところの「パートタイム労働者」という雇用形態をとっているからでしょう。

パートタイムなら、自分が働きたい分だけ働いて、働いた分の対価を受け取ります。

もちろん昼職でもパートタイム労働者なら、同じ条件になるのですが、スーパーのレジ打ちの時給は、おおむね900円ほどです。この段階で夜職と比較すると、どれだけギャップが大きいかが分かるでしょう。

では、昼職の正社員として転職した場合はどうでしょうか。昼職の正社員の場合、時給ではなく月給、あるいは年俸という形式で給料が支給されます。月間や年間で既に給料の額面が決まっている状態です。

みなし残業代を含める形で、実質無制限に残業を黙認している会社も少なくありません。

月にもらえる給料が分かっていれば、生計も立てやすいというメリットがある一方、夜職のように働いた分だけもらえるという手ごたえは感じにくいでしょう。

夜職は社会保険満額自己負担、昼職は半額会社負担

現在夜職として働いている人は、国民健康保険や国民年金を自分で全額支払っているのではないでしょうか。

パートタイム労働者として働いている人も、個人事業主として働いている人も、夜職の場合は店舗が上記のような社会保険への加入手続きを行えないからです。

そもそも、社会保険に加入できるかできないかは、週および月間の労働時間によって国に規定されています。

1日に3時間、4時間程度の勤務しかしない場合は、昼職でも夜職でも社会保険に加入させてもらえないのです。

一方、昼職の契約社員や正社員の場合は、労働時間が週30時間以上あれば、社会保険に加入できます。それだけではなく、夜職の今、自分で全額負担している社会保険料のおおよそ半分を会社側が負担してくれるのです。

雇用保険にも加入できるため、万が一退職して次の仕事が決まらない場合でも、国から失業手当が支給され、すぐに生活に困ることはありません。

夜職は雇用保険にも加入していないため、辞めたらすぐに次の職を探す必要がありますが、昼職の契約社員や正社員の場合は、もしもの時にお金が出る制度が整っているため、安心して働くことができるでしょう。

夜職はインセンティブ、昼職は年に1~3回の賞与

夜職の場合、時給+インセンティブという給与形態が大半を占めるのではないでしょうか。

具体的には、「時給+指名料・顧客のオーダー内容の何割か」という内容になっていて、給料が支給されるまでいくら自分に入るのか分からないという人も多いでしょう。

そのため、夜職では待機カットを回避するためにより多くの指名を獲得し、時給に+αの収入を上乗せすることで、高収入を実現します。

昼職の場合でも、営業職ではインセンティブがつく会社がほとんどです。特に不動産や保険業界のインセンティブは高く、月給と同額、あるいはそれ以上のインセンティブを獲得している人もいます。

さらに昼職には賞与があります。賞与(ボーナス)は、一般的に夏季と冬季の年2回支給されるものであり、月給の1~4倍の金額が支給されます。業績のよい会社では、期末手当という形で、3回目の賞与を出すところもあり、このような会社は高年収を実現できるでしょう。

ただし、賞与には注意点があります。転職した年、つまり勤務初年度には、賞与が満額支給されるケースは稀です。多くの場合、「寸志」と称して、5万円程度が支給されるでしょう。

転職直後はまだまだ勉強中・研修中という社員が多いため、会社としても他のベテラン社員と同様に賞与を支給するわけにはいかないという事情があります。

しかし、賞与が支給されることによって、昼職の社員の年収額はかなりアップすることは間違いありません。

夜職の給料からあまり下げたくないという人は、インセンティブもあって、賞与も年2回以上あって、その賞与の額が月給の2か月~3か月分あって…という条件を満たす求人に応募してみるとよいでしょう。

夜職は退職金なし、昼職は退職金あり

夜職の女性がお店を辞める場合、最後に勤務した月の給料だけで、後は特別何もなし…という場合がほとんどです。

同じ夜職でも、長年お店に貢献してきて、惜しまれつつも辞める…という場合のみ、「餞別」という形で店長から数万円程度包まれるというケースもあります。

昼職の場合は、夜職よりも月給が安くなることが多いものの、退職金制度のある会社が多くなっています。退職金は、その会社の就業規則で規定されており、月給×〇倍というように、月給ベースで倍率がかけられています。

倍率は、勤続年数や会社への貢献度で規定されていることが多いため、夜職から昼職に転職した後、継続して勤務することで、老後に受け取れる退職金の金額が増えていくというシステムです。

最近は終身雇用も終わりを迎えているという背景もありますが、退職金制度のある会社に転職することで、夜職のように将来を心配するというリスクは減らすことができるでしょう。

昼職でも好待遇の業界に転職すれば年収を下げずに済む

高時給でさらにインセンティブが入る夜職の仕事は、一部の昼職に比べても高い給料を得ることができます。

昼職に転職することで、夜職よりも収入が減少してしまう人が多いのも事実です。

しかし、もしも福利厚生や働き方以外に、給料の面でも夜職と同じくらい、あるいは夜職を上回る金額を目指したいという場合は、転職する前の工夫が必要になります。

転職する前に、夜職からどれくらい給料が落ちてもいいのか、もしくは維持したいのか、給料をアップさせたいのか、自分の中で決定しておくとよいでしょう。

もっと具体的に言えば、自分がこれからの人生で何を重視するのかを決めておくことをおすすめします。

お金を重視する場合は、この記事で紹介してきたような金融・保険・不動産などの平均年収の高い業界に転職した方がよいでしょう。プライベートを重視したい場合は、少し年収が落ちても、安定した給与が確保できて残業の少ない仕事に転職するとよいでしょう。

どちらを選んでも、昼職には社会保険料の負担額や、退職金の支給という夜職にはない福利厚生が整っているため、自分自身が病気で働くなった時や、退職した時の当面の生活費を心配することはありません。

目先のお金だけではなく、こういった将来的に支給される可能性のあるお金のことも考えて、転職活動をすすめていくとよいでしょう。

まとめ:多くの人は昼職への転職で年収が落ちるが、工夫次第で上げることも可能

短時間労働で高時給に慣れている夜職の人が、8時間労働の昼職に転職すると、転職してはじめのうちは、転職のメリットを感じにくいかもしれません。

5時間勤務に慣れていた人が、いきなり8時間勤務で、しかも給料も下がるという可能性が高いからです。

しかし、転職先として年収の高い業界を選んだり、夜職の間に転職に役立つ簿記の資格を取得したり、PCスキルを身に着けておくことで、夜職の年収を維持したり、アップさせていくことは十分可能です。

多くの場合は昼職への転職で年収が下がることは覚悟した上で、少しでも条件のよい求人を探すようにしましょう。

そのためにも、賞与の支給額や実績、退職金制度があるかどうかなど、求人票の細かなところまでよく確認することをおすすめします。